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大学・大学院

 
このページでは、大学・大学院の学生がどのような日常を暮らしているのか、そして研究者を目指す学生が直面する人生の選択の時期やその内容をを説明します。
 例えば、研究者になる為にどのような大学を選びどんな勉強をすればいいのか、卒業研究ではどのような研究室を選べばいいのか、大学院の選び方と大学院での研究室の選ぶポイントがわからない人などが解決策を見つけられるように数十人の経験者から得た意見をまとめて概説しています。 

  1. 大学の選択と大学入学から大学卒業
  2. 大学院修士課程
  3. 大学院博士課程


大学から大学院進学まで ページのトップへ


大学選び(中学生・高校生の方へ)
 
研究者を目指しこれから志望大学を選ぶ中学生・高校生にお勧めする大学を選ぶ際に考えるべきポイント。

  1. 自分の興味が長続きそうな分野を時間をかけてじっくりと見定め、その分野に一番マッチする専門的な学部学科を選ぶ
  2. 研究に関わる仕事を目指し希望学科が複数の大学にある場合は、私立よりも国立、地方よりも旧帝大など都市部を選ぶ(就職活動や情報収集などで経済的に助かることが多い)
  3. 病気の治療を目指した研究がしたい、出来れば患者さんとふれ合う場所で研究がしたい場合は医学部の受験をお薦めします。臨床サンプルを沢山扱う研究や疾患の疫学研究を行う場合は医師でないと共同研究者などをえる必要があり難しい場合があります。


研究をやっていく上で、出身大学によって差別されたり不都合を感じることはほとんどありません。しかし、偏差値の高い大学の方が、民間企業への就職活動をする際に有利であったり、研究環境が整っているのも事実です。良い大学は全般的に見て著名な先生の研究室が多いために研究者を目指すモチベーションが高い学生が集まりやすく、多くの情報を得たり自らの研鑽に有利です。また長い目でみると、切磋琢磨して競える友人や先輩が沢山いる事は後の研究生活の上で多くの価値をもたらしてくれます。そのため、まだこれから大学受験まで時間のある人は、すごい発見をすれば学歴なんて関係無くよい研究者になれると考えずに、少しでも良い大学に入れるよう勉強することをお勧めします。


 
大学での日常
 
大学入学後すぐに研究に携わる人は殆どいません(まれに個人的に研究室に飛び込んで研究をしている人を見かけますが…)。普通はそこそこに勉強し、バイトやサークル・恋愛に一所懸命になります。大学研究者の人生はある意味閉じた社会の中での一生であり、企業会社員などと比べると社会通念や社会システムに少し疎くなりがちです。その為、大学1〜3年生は色々な社会を知り、色々な人と知り合うことの出来る貴重な時期なので、様々な経験や色んな人の意見に触れることは悪くないと思います。
 
 早めに研究に役に立つ準備をしておきたい人は、英語を完璧にこなせるようにしておくといいでしょう。医学・生物系研究領域での研究成果は英語論文として英文科学雑誌に発表しないと殆ど評価されません。また、昨今は海外留学(近頃はポスドクとして給与を貰いながら海外に行く為、海外留学ではなく海外出稼ぎ or 海外修行が適当な表現だと思いますが…)は当たり前だし、日本にいても海外の研究者とメールや電話で連絡を取り合うのは日常茶飯事です。その為、大学生の内に英語の会話、読み書きがネイティブスピーカーレベルで出来るようになればかなりの武器になります。また生物系の勉強としては、細胞の分子生物学を読み完璧に理解することもいいかもしれません、かの本は免疫系や腫瘍生物学、神経生理学の知識については少し物足りないのでそれらについては他の本をお薦めします。下に生物系学生にお薦めの良書を選んでリストアップしています。
 
 医学・生物学系大学・大学院生におすすめの本と教科書


 
大学生の決断
 
図1.入学から卒業までのTime table
(大学によって時期等は微妙に異なります、日程の詳細はご自分で再確認してください)


 

  •  大卒での就職活動

 
上のスケジュールでわかるように、民間企業研究職の就職試験は、大手製薬会社を皮切りに3年生の9月頃から始まります(注、研究者への道も参照)。つまり、「大卒で企業就職をするかどうか」ぐらいは最低でも3年生の春頃には決めておかなければいけません。就職活動と試験には独特の知識と技術が必要です。その勉強期間として最低でも二ヶ月は費やした方が良いでしょう。履歴書やエントリーシートの書き方はたくさん良書があるのでここでは省きますが、文章の書き方は一朝一夕では巧くならないのでゆとりをもって準備してください。
 

  •  卒業研究先と大学院選び

 
大卒就職は考えず大学院修士課程に進む場合、3年生後期に卒業研究先を決めるのが研究者を目指す上で初めての人生の決断になります。
 
卒業研究の所属先の決定のよくあるのは理由は下のでした。

  1. なんとなく面白そうな分野だから
  2. 先生の人柄が気に入ったから
  3. 自分のやりたい研究ができそうだから
  4. 真剣に考えずにいたら他の人に遅れを取ってしまい、空いているのが其処しかなかった
  5. 研究室の業績が沢山あり、また、レベルの高い雑誌に発表が多いから
  6. 研究室に人が多く、楽そうだから

 
全体的に見てしっかりした自分の意志や科学的興味よりも流れに流されて安易に研究室を決めている傾向が多数を占めます。
個人的な意見ですが、卒業研究の研究室を選ぶ前に「将来の自分の姿をある程度具体的に想像できているかどうか」が研究者を目指す上で一番大事だと思います。大学3年生の終わりから修士課程まではその後の人生の方向を決定する幾つもの選択を迫られます。そして、各々の選択肢をじっくり吟味している時間的猶予はあまりありません。研究室に配属されるとすぐに大学院入試がやってきますし、出身大学以外の大学院を受ける場合は研究室訪問と教授面談を4月から7月頃までに済ませている必要があります。また、修士1年の夏から就職活動が始まることから、修士入学後すぐに就職活動のことを考えなければいけません。
卒業研究と大学院修士課程での研究室選びのポイントをまとめると
 
 
卒業研究の所属先選択の際に考えるポイント
 

  • 将来は民間企業研究者をめざすか? 大学教員などの研究者になるのか?
  • 大卒で民間企業研究者や公務員を目指す場合、卒研受け入れ研究室は就職活動や公務員試験の勉強に配慮してくれるか?
  • 自分が興味をもって続けられる分野は何か?
  • 希望する研究室は優れた業績や研究費を多く持っているか?(修士もその研究室に残る場合)
  • 希望する研究室はある程度の数の大学院生やポスドクがいるか?
  • 他大学大学院へ進学を考えている場合、修士でやろうとしている研究分野と卒業研究の分野がある程度重複するか?
  • 希望する研究室の学生・院生が生き生きとした生活を送っているか?
     

 修士課程の研究室選択の際に考えるポイント
 

  • 修士後に就職活動をするか?博士に進学するか?(大まかに)
  • 希望する研究室は就職活動をサポートしてくれるか?(コネとかではなく、研究進度の遅延を容認してくれるかなど)
  • 就職希望の場合、研究室は都市部にあるか?(地方では就活での交通費負担が重く、実験の合間に就活をすることも難しい)
  • 就職希望の場合、研究室に修士卒で就職しようとしている現役の先輩がいるか?
  • 自他大学を問わず博士進学を考えている場合、希望する研究室はある程度の数の大学院生やポスドクがいるか?
  • 自他大学を問わず博士進学を考えている場合、希望する研究室は優れた業績や研究費を多く持っているか?
  • 自他大学を問わず博士進学を考えている場合、希望する研究室の業績のうち大学院生が筆頭著者となっている論文がある程度あるか?
  • 自他大学を問わず博士進学を考えている場合、希望する研究室の教授がその分野ではある程度の知名度があるか?
  • 希望する研究室の学生・院生が生き生きとした生活を送っているか?(研究室訪問に行った際に研究室以外の所で、その研究室の大学院生を捕まえて意見を聞くと良い)

 
多数の研究者から聞き取ったポイントを色々と述べましたが、自分一人でこれらのポイントをすべて調査し結論を出すのは難しいと思います。(私自身の過去を顧みても、これらポイントの全てはカバーしていなかったと思います。その為、今も苦労していますが…)
また、研究室に入って研究を始める前に研究室のレベルや業績を正確に評価したり、自分が研究者としてやっていけるかどうかを考えることはとても難しいことでしょう。しかし、それらを早い段階からやっておくことが後々の人生の上で必ず有利に働くと思います。
一人で調べるのが無理ならクラスメート数人で協力しても良いし、博士課程の先輩やポスドク、そして、親身になって相談できそうな教員に相談するのもいいかと思います。博士過程以上になれば、研究分野の動向や研究者としての人生についてどういう選択をすればもっとよかったかをよく理解していますし、うまく説明してくれると思います。
 

 大学院修士課程から博士課程まで ページのトップへ

 
修士号取得への道のり

 
図2.修士課程のTime table

(大学院によって日程等は微妙に異なります、詳細はご自分で再確認してください)
 

 

大学院修士課程(一貫制大学院の場合は博士前期課程)は標準修了年限2年の研究課程で、修士論文の提出と課程講義単位の修了によって修士号学位が得られます。
授業料は国公立の場合、大学学部と同じの額(年55万程度)で、学部授業料が100万近い私立大学でも大学院は国公立と同じ程度か安い所もあります、私立でも大体は10万円程度高いぐらいであることが多いです(詳細な金額は各自で調べてください)。

ほとんどの場合、大学院試験の願書出願時点で希望する所属研究室を選択または決定していることから、入学と同時に研究室に入って研究を始めることになります。学部生の卒業研究とは異なり、研究成果を一流科学誌に発表できるよう日夜研究に没頭する事を求められるため、横並びではなく個人の力量と(色々な意味の)運によって大学院生活の満足度と充実感は異なります。

  

  •  修士卒で就職する場合

 
修士課程修了を対象にした就職活動は、修士1年生の9月頃から大手製薬会社の研究職を皮切りにスタートします。もし就活をする気があるならば入学後早い時期に主任教授とその旨をよく話し合うことが大事でしょう。稀に、「教授が就活は許可してくれたが、他の博士進学予定修士院生と同程度の研究成果を毎月要求してくる為、寝る間も無いぐらい忙しい」「就活をすると教授に言ってなかったら、企業説明会の日に休みの許可を貰えなかったり、その後も研究室で無視された」などとぼやいてる院生を偶に見かけます。こういった人は大体、どっちつかずになり就活も研究もあまりうまくいっていません。お互いの為にも、じっくり教授と話し合いより良い妥協点を模索されることをお薦めします。
また、就職の話を早い時期に教授にしたら
「知合いの企業に話をしてくれて書類審査を飛ばして面接から受けられるようになった」
「研究室出身で企業研究者をしている先輩を紹介して貰えて、かなり助かった」
などといったこともあるようです。(それを全ての教員に期待してはいけませんが…)
 
 

  •  講義と院生の生活

 
大学院の講義や実習については学校間での違いが大きく、少人数のゼミや実習が沢山ある大学もあれば、ほとんど講義らしい講義はなくて自主学習による課題レポートや特別講義などの視聴出席だけで単位認証をうけられる所もあります。大学に比べると授業と単位を取るのは容易ですが、その分ほぼ毎日を研究室で研究に従事することになります。
 
誰でも最終的に修士論文を完成させ審査を通れば修士号を貰えるわけですが、研究室の雰囲気やトップの考え方により、大学院生に科せられる日常の努力要求や研究成果を出すことへの期待の大きさは全く異なっています。また、個人個人のペースに任されているような研究室では、全く研究室に来ない院生がいる一方で、一日16時間も研究している猛者もいます。(私も修士学生の時は教授に「一日18時間は研究しないと一流にはなれんよ」とよく言われました。無論、実際には無理でしたが…)
 
休日についても同様に、研究室の方針で休日が日曜のみに管理されている所もあれば、全くフリーに院生が決めらとこれるとこもあります。一般的には実験の都合で土日を自主的に返上して実験することがあったり、実験がヒマな時は土日をしっかり休んだりと自らの研究進度に依存したケースバイケースで休んでいる人が大半です。大学院のカリキュラムの上では、夏・冬・春休みが学部生と同様にかなりの長さで計上されていますが、それら長期休暇を額面通りとる人は殆ど居らず、盆・暮れ・正月と土日以外で年に合計一週間程度の休みを取る人が殆どです。大学院生も学生なので一般的にヒマで呑気な生活をしていると思われがちですが、時間的余裕も経済的余裕もなく憔悴している人も結構います。
  

  •  修士課程での研究指導

 
学部卒業研究は、研究というものの雰囲気を掴み、技術的な下地を養うことが主題となっているのに対し、大学院修士は自然科学の真理を探究することを求められ、本格的な研究者養成の段階に入ります。
修士院生への研究指導は、各大学院や各研究室によって方針が全く異なります。助教など若い教員にマンツーマンで付けられて教員の研究テーマのお手伝いからされられることもあれば、助教や大学院生で構成されたの数人の小さなグループに入れられて研究テーマを分担することもあるし、テーマだけを与えられその他のことは自主性に任せられることもあります。また、テーマ決定を含めた全てを自主性に任せてくれることもあります。
 
個人的には、手取り足取り何でも上の人が教える指導方法よりも、ある程度自由度の高い指導を受けた院生の方が早世しているのではと思います。私の学生時代の先生は「1を知って10を成すまででなくとも、5を知って9を成す人が理想的にだね」と言ってました(指導する側の時間的苦労を考えて面倒くさいと思われたのかもしれませんが…)。私もその考えには賛成です。
 手取り足取りの指導を受けながらやっている院生の方が最初の頃は研究スピードも速く、教員にとっても結果を出してくれるのでお得です。しかし、そういった人は独立独歩になりそれまでに経験したことがない問題に一人で直面すると、極端に研究進度が遅くなります。逆に、初めからある程度の研究計画の自主性を与えられた人は、始めは失敗が多く研究速度も速くありません。しかし、どんな事も自分で調べて解決しながらやって行くうちに、一人で問題をドンドン解決するようになり、かなりの伸びをみせる印象があります。しかし、ある程度まとまった研究結果が出た時は、教員の先生と実験結果の解釈に対して議論したり、他方から見た視点で意見を聞いたりしたほうがいいでしょう。一人で深く考えすぎると段々とその研究の目的が個人的興味の追求に走りがちになったり、データ解釈の希望的観測も引き起こしかねません。研究の完成度を上げる為には、沢山の人に結果を見て貰って議論を重ね論理の弱点の洗い直しをしかっり行いながら更に補完してやらなければいけない事を明確にすることが大事です。
 医学・生物系研究では仮説通りの実験結果が出ないことは少なくありません。むしろ、日々、小さな失敗が続くことの方が多いでしょう。研究テーマと仮説の設定、実験途中の失敗原因まで独力で考え、スムーズに解決出来るような人になれるのかどうかということが一人前の研究者になるためのキーポイントだと思います。
 また、自分自身がメインで研究を進めていれば、論文発表の際に「誰が筆頭著者になるのか」などの醜い争いが起きずに済みます。(こういう争いを意外に良く耳にします)

  •  博士課程へ進学する人

 
博士課程進学を始めから決めている修士院生の一年目は、研究以外に考えなければいけないことは殆どありません。必死で研究し、良い結果をだし沢山論文を書く事に集中した方がいいでしょう。
 敢えて言うならば、興味のある学会や研究シンポジウムなどに何度か出かけて、「博士課程をどこの大学院にするか」「その大学院のどの先生の研究室に入るのか」を一年生の冬頃までには決めておくと良いでしょう。そして、二年生の4月までに博士課程で希望する研究室の教授と、博士入学後の研究内容についてよく話し合いをしていた方がいいです。なぜなら、修士二年の4月〜5月下旬までに日本学術振興会の特別研究員(DC1)(通称:学振DC)の願書提出をしなければいけないからです。学振特別研究員の詳細についての情報は他ページにまとめて記述していますが、学振DCは将来アカデミック研究者を目指すなら、ダメもとでも挑戦しておいて損は全くない選択肢です。かなりの額のお金が毎月貰えるばかりでなく、将来の研究費申請の練習になったり、特別研究員は職歴として客観的評価を得られます。
 博士課程入学試験を受ける以前の修士二年の春に、博士の受け入れ先とそこでの研究テーマの詳細を決めておかないと願書を出せないような学振のシステムも少しもどうかと思いますが、そういうシステムになっているのでしょうがありません。博士を他大学の研究室にしようと思っている人は早めの行動をしたほうがいいでしょう。幸いな事に、博士の入試は修士に比べて競争率が低く、真面目に研究する意志があって英語と専門がある程度できればどこの大学院でも(旧帝大などでも)比較的容易に入れます。また政府の施策で年々学振DCの採用枠が大きくなっているので、安易に諦めずぜひチャレンジしてください。
 
注:もし医学・歯学・獣医学研究科等の標準修業年限四年の博士課程に入学を考えている場合は、修士課程を経ていても博士課程一年時の4月にDC1に、二・三年生の4月にDC2にそれぞれ応募できます。理学・工学・農学・薬学研究科など標準修業年限三年の博士課程院生と時期が違う事に注意してください。

 

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図2.博士課程のTime table
(大学院によって日程等は微妙に異なります、詳細はご自分で再確認してください)
 






大学院博士課程(一貫制大学院の場合は博士後期課程)は標準修了年限3年の研究課程で、講義単位修了と博士論文の作成・提出と審査承認によって博士号学位を得る事が出来ます。また、医学・歯学・獣医学など六年制学部に設置された大学院博士課程は、標準修業年限が4年です。多くの大学院で、英文論文を最低一報は科学学術誌に発表することが博士学位審査の条件になっており、それが出来なかった場合は単位取得退学という形で一度退学した後に、学術誌に論文が掲載されれば、大学院へ論文を提出し審査試問を受け博士の学位を得る事ができます。
どちらの場合も優れた研究業績を上げれば一年早く学位を取得することが出来る早期修了制度があり、それぞれ二年と三年での学位取得が可能です。
授業料については修士課程の場合と同様に、国公立大学院は学部と同額で、私立大大学院も学部よりは安く済むことところが多く見られます。

別ページに詳しく概説していますが、もし博士課程に入ったならば、少なくとも一度は学術振興会の特別研究員(DC1、DC2)にチャレンジしたほうがいいと思います。近年の政治・行政施策によって学振DC1・2の採用率はかなり上昇傾向にあります。学振HPに採用者の所属大学と研究テーマ・指導教員のデータが公開されているので参照してください、旧帝大と呼ばれる大学以外の研究室からでも採用者はいますし、指導教員や学振経験者に申請書添削をして貰ったり研究テーマと内容を良く練ればどんな人にも可能性はあると思います。また、学振の書式は科学研究費の書式とほぼ同一に作られているので将来の研究費申請の予行演習と思ってやれば損はないと思います。
 

  •  博士院生の生活

 
基本的には修士課程と同様で、講義や実習はそれほど無く、自らの研究に心血を注ぎすばらしい研究成果を挙げるよう努力するのが日々の中心になります。修士課程と比べると在学年数が1〜2年ほど長いので、就職活動の始める時期なども余裕があります。しかし、博士は研究室の中で中間管理職的な役割を担わされることが多く、後輩の面倒をみたり、学会の準備や試薬やキット類の在庫管理を任されたり、実験・研究以外で自分の時間がゆったりもてている人はあまり多くありません。
 
 

  •  博士院生の研究

 
最近では教員自身の研究を押しつけるのでは無く、院生自身の科学的興味や理論の追求をサポートする形で研究指導を受けることができるようになってきており、博士院生でも主体性をもって研究に取り組める環境が整いつつあるように感じます。
博士課程ともなると、実験技術的な面や研究の進め方について、助教など若手教員と比較しても大差なくこなせる人も少なくありません。その為、Natureなどの有名科学誌に筆頭著者として論文を発表したり、専門学術誌や学会に論文を複数発表するようなすばらしい業績を持つ博士院生も屡々見かけます。
 
博士院生でも教員でも、良い研究結果を出し世界の科学学術誌に筆頭著者として発表できれば一定の客観的評価を平等に受けることが出来ます。インパクトのある研究を成した地方の大学院生に対して海外の研究者からお声がかかってポスドク先が決まったり、国内の教員ポストの誘いがあったりといったケースもそれほど多くは無いですが耳にします。切り取り次第で個人的業績はドンドン積み上げられますし、業績は沢山あった方が教員ポストや研究費獲得など何かと有利なのは間違いありません。その為、博士課程での研究プランをたてるときは、個人的興味と論文にするため最短コースに巧く折り合いをつけ、研究論文をどのようにして量産するかをよく考えたほうがいいでしょう。
経験者ばよく分かると思いますが、医学・生物分野の研究はただ時間を沢山費やして努力すれば必ず大きな発見ができるというものではありません。(しかし、最低限の人並みの努力と情報収集をこなさない限り、簡単には論文はできません。)研究成果を挙げるには、本人の能力はもちろんのこと、研究を行う環境や指導者の能力、そして研究テーマ自体の善し悪しと時の運などの条件が密接に組み合わさっているように思います。
それだけに、どの人がどの時点で素晴らしい研究を成すのかは簡単には予期できないと思います。大学院生で良い研究をした人が、将来すばらしい発見をすし大成すると断言できる人はいないし、また反対に、大した成果をあげていない大学院生が、将来、誰も予想できない発見をするかもしれません。
  

  •  博士院生の悩み

 
博士院生の悩みで大半を占めるのは、自らの将来の展望です。学会などで知り合った大学院生や研究室内の院生などとお酒を飲みに行くと必ずといっていいほど、誰かが悲観的将来と現在の待遇不満を嘆き始め、その他の周りの人も同様の不安を口にします。私自身もこの種の悩みについてはかなり考えを巡らせ悩んだ時期もありました(今もそうかもしれませんが…)。
 
前章にも書きましたが、博士院生までになると、ほとんど研究レベルでは若手教員と大差なく研究室全体の研究推進力の一翼を担っている院生が少なからず存在します。しかし、学生であることからこれらの院生に労働報酬が支給されることはありません。そればかりか、学部に比べるとかなり少ない講義や実習に対して学部と同額の授業料を納めています(国公立の場合)。また、博士取得後のアカデミックな道を目を向ければ、一部に透明さに欠ける若手教員採用が存在することを感じたり、大学院生の全数に対する若手教員採用枠の減少していることが顕著にわかってしまいます。そして運良く博士取得後に大学教員に採用された場合を考えても、大学教員任期制の導入によって新規採用若手教員は3〜5年任期の一回更新という形に多くの大学の採用システムが変わってしまったため、大体40歳ぐらいまでは経済的に不安定な状況が改善されないであろうことが目に浮かんでしまいます。
 
これら悩みの解決として、個人で対応出来る素晴らしい解決法というのはいまのところ無いように私自身は考えています。
 
その為、博士院生にとっておそらく良い悩みの解消法は、自らの待遇や将来の不透明性を悲観して腐るのではなく、人生で自分が一番やりたいことや優先したい事を真剣に考え、その人生の優先事項の実現に向けて、今やらなければいけない事や必要な事をしっかりと認識し実行することのみを心がけなければいけないと思います。
何となく実験に従事し日々をそれとなく過ごしていると、博士課程後の有利な選択の機会を失うことになりかねません。

  1. 将来は安定した生活を重視するのか?
  2. 職の保証はなくとも大学教員などのほうがいいのか?、
  3. 将来は家庭での時間を何よりも大事にしたいか?
  4. 研究のためになら時間をある程度犠牲にできるか?
  5. 勤務地が安定しない生活でも大丈夫か?
  6. 経済的に裕福になりたいのか?


最低でも、上記の疑問について自分なりの結論を一つ一つ導きだせば、選ばなければいけない将来は自ずと見えてきます。あとは、その選択を実現するためのタイミングを逃さないよう気をつければいいでしょう。
 

  •  博士取得後の人生の為に

 
 
博士後に企業就職を希望する場合
 
博士後に企業等に就職をすると心に決めた院生は、博士二年(医系:三年)の夏から就職活動に心血を注がなければなりません。活動内容とその備えは大学学部の就職活動の項で説明した通りですが、博士の企業就職は一般に修士卒よりも難しいと言われます。

その理由として考えられていることは、

  1. 十数年前は博士卒の人が企業就職をすることはそれほど多くなかったことから企業側にあまり前例がなく、報酬評価や人事考課がやりにくいために敬遠されている
  2. 企業の求める技術や研究開発と大学院で修得し極める研究の間に乖離があり、即戦力とならないため
  3. 基本的に企業での開発・研究はチーム制を組み一つのテーマの作業を分割・分担して行う、大学院でも同様の形態の研究室はあるが、一般的には個人業績の為に院生は努力しているために個人で立案・実行・検証・報告の全てを行うことが多い、企業側からはこの傾向が染みつき使いにくい人材としてみられている場合がある
  4. 博士卒を募集要件から除外している会社も少なくない
  5. 博士卒が応募できる職種が限られている会社も少なくない。
  6. 修士時代に就職活動をしたが希望の就職が叶わなかった人が、博士課程になんとなく進学し博士卒で再挑戦していると企業側に思われている
  7. 博士課程在学中の適切な時期に就職活動をせず、新卒・第二新卒採用以外の時期に中途採用などの就職活動をする人が多く、自ずから不利な試験にしている

 
企業は私的組織ですので、独自の物差しで人材を選ぶことに口を挟むことはできません。確かに、学部や修士卒で採用した現在の社員の能力にさしたる不満が無いならば、能力が未知数で年増な新入社員をとることは、組織統治や後の人事考課ばかりでなく現場の志気や雰囲気を悪化させる可能性無いわけではなく、博士卒を敬遠する企業側の考えも理解できます。

しかし、博士だからこその高い能力も確かに存在します。修士卒で企業就職を果たした人は、就職活動によってかなりの時間制約を余儀なくされ、ほとんど研究らしい研究をしてい無い人も多くいます。それらの人と比べると博士課程の院生は、物事を追求して考え、問題解決に道筋をつけ、論理的にすべてを展開する能力が比較的高いと言えます。また、経済的な苦しさに耐え研究している人も多く、目的達成の為に忍耐を持って行動する自己犠牲の精神も高いといえるでしょう。
また、これから博士卒の人材と企業との間を取り持つには、どれだけ今後の博士卒の人々が一般企業で能力を発揮し、その必要性を広く認識させることが出来るかににかかっているといえるでしょう。
さて、能力を発揮するにしてもまずは採用試験を通過しないといけません。
博士卒で研究者として企業就職を果たした人を見てみると、「博士卒としての強みをどれだけ修士院生との差別化を計り、うまくアピールできたのか」というのが要点であるようです。修士より長く研究に従事している訳であるから、研究能力や理解が高いレベルにあるのは当然です。その他に自分が採用担当者なら博士にどんなことを求めるかをよく考えた方がいいでしょう。最近は博士向けの就職ガイダンスやセミナーなども大学などで行われているようです。それらに積極的に参加し、企業の求める博士像をいかにして掴むのかがカギだと言えるでしょう

 
 博士後にアカデミック職を希望する場合
 
博士後に大学や国公立研究機関の研究者を目指す決心をした博士院生は、今日の苦労は未来の武器と考えて、良い研究成果を沢山生み出せるよう必死に研究する必要があります。
そして、将来のプロモーションを考える上で大事なのが、どれだけ自分の顔と業績を日本の同じ研究分野の人達に認知させられるのか、そして、国内外の研究者と親密なコミュニケーションがとれる有名な先生に自分の能力を認めて貰い友好的な関係を構築できれば色々と将来の為になるでしょう。
それを実現させる為に実行すべき事は、出来るだけ学会や研究会などにはたくさん参加し、発表できる結果があれば口頭でもポスターでもいいので沢山発表をするように心がけることです。そして、質問を受けたならば、丁寧な回答をするのは当然ながら、分からないことは後ほどメールにて回答したり、学会の懇親会では積極的に新しい人間関係の構築を計った方が得です。
また、特定領域研究や厚生科研などの研究班会議に参加することも院生にとって有益な情報をえたり刺激を得たりするかなり良い機会だと思います。班会議に院生の同行を許可してくれ先生とそうでない先生がいるでしょうが、班会議には同じ分野の重鎮から若手まで良い研究者が揃って参加しているし、懇親会なども学会に比べると少人数で親密になりやすいのでかなり為になります。そういった小規模の会では、若手ながら研究代表者として研究班班員になっている先生などから、海外留学やその分野で現在注目の海外PIなどの情報が聞けたり、職を得るためにどのようにプロモーションすれば良いのかなど、日頃の研究室生活や学会参加では耳にできない貴重な意見が多々聞けます。

上の方でも触れましたが、将来も大学系研究者を目指しているならば絶対に学振DCはチャレンジしたほうがいいです。そして、博士2年(医系:3年)の4月には、ぼんやりとでも博士取得後に何処の誰が主宰している研究室に行くのかぐらいは考えはじめたほうがいいでしょう。
大学や国公立研究機関の教員・研究員ポストに恒常的に不足気味で、自分の従事する研究分野に関した採用枠が自分の博士取得に合わせて空いていることは殆どありません。また、教員・研究員の採用枠は倍率も高く、試験などと違って明確に点数化されているわけではないので、どんなに研究業績があろうと確実に職に就ける保証はありません。その為、博士取得後の大多数の人は国内外大学等研究室でポスドク(post-doctoral fellow:博士研究員)と呼ばれる任期付き研究員という身分で研究に従事します。ポスドクについては博士達の行方のページで詳しく現状を説明しているのでそちらを見てください。

多くの人が応募するポスドク研究費が学振特別研究員PDと学振海外特別研究員です。この二つは採用者数も多く、採用者に選ばれれば職歴として一定の評価も得られます。
上のタイムテーブルで分かるように、それぞれの申請出願時期は3〜5月(海外)と4〜6月(PD)です。申請書が学振HPにあるので参照して欲しいのですが、この二つの申請には、出願時点で受け入れ先の教授などに受け入れの用意がある旨の承認を受けている必要があり、また、受け入れ後の研究内容・手技についてもある程度具体性を持った話し合いが済んでいる必要があります。
最近はPDの受け入れ研究室として自らの出身研究室を選ぶには相当の理由がなければ難しいので、博士後にアカデミック職を目指している人は、博士2年(医系:3年)の12月ぐらいまでには、国内・海外の研究室に問い合わせを初めておかないと間に合わないと思います。



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